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「短歌人」9月号  「秋のはじまり」20首
「短歌人」9月号

「卓上噴水」第145回に掲載  以下20首
  秋のはじまり

この窓が蹴破られる日を思いつつ《非常用進入口》真下に座る

誰ひとり名を知らずとも無軌道に繁る窓辺の鉢植えの樹は

「見通しは」受話器取るまえ二回ほど課長は暗き声を試しぬ

「はいそれで、ツウフウコウってなんですか花ですか」って聞こえ まひるま

通信簿を覗きあってた頃の顔でtaspoカードを見せ合う人ら

真夏日の午後二時使い走りする タワーと名のつくもの皆溶けよ

噴水は呪術なるかもその動き見つめていれば背筋のゆるむ

ブラインド深く閉ざした窓ならべあのビルはいつも雨降りのよう

ロウソクの炎と過ごす人ならんアロマキャンドルまとめ買いして

顔のないマネキンの上に屈まりて店員のリボンほどく手やさし

人を吐き人を飲み込み地下鉄のドアは吐息をみじかく漏らす

『秘書検定二級テキスト』表紙には眼鏡の女の賢しらな笑み

そのかたち組み方さえも似たる脚 葬式帰りの母と娘の

しろたえの水着の痕を背負いたる少女につづいて抜ける改札

窓ガラス通してみれば回遊の魚の群れなり 光る環七

犬ならば広き縄張り 池袋、日比谷、木場にて尿せし今日

服のままシャワーを浴びてもいいのだと気づいて試した十一だった

許せないものはずいぶんあったはずホウレン草とか父の嘘とか

自動ドアに無視されることが二度つづき秋のはじまりなのだと気づく

臍の緒のしまわれたままの引き出しのずっと上までのぼる満月

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

「卓上噴水」というリレー連載(?)コーナーに掲載。
(=会員1・2欄所属の人の新作20首を載せる)

連作よりがんばったのは写真だという噂も(笑)。
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[2008/12/29 23:02 ] | 短歌(砺波湊作)
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