世の中ね、顔かお金かなのよ!

ブログタイトルはこんな(回文)ですが、恋愛や人生の指南はしません(できません)。砺波湊の短歌メインなブログです。

「歌合ってなに?」という方は、まずはこちらの記事→ からどうぞ!

【東】
ハンドルをまはすと落つる削り氷(ひ)のそのふはふはの白きを愛す
(白石瑞紀)


【西】
雨は緑の色をつくってズッキーニ、まないたの上もりもりと切る
(黒崎聡美)


両チームの推薦文、勝敗は「続きを読む」をどうぞ。
(全文を読む前に、ご自身で感想や勝敗を考えておかれると面白いと思います!)




★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


東チーム【方人】:白石瑞紀さん
東チーム【念人】:來宮有人さん



ハンドルをまはすと落つる削り氷(ひ)のそのふはふはの白きを愛す
(白石瑞紀)


ハンドルをまわす。まわすと削り氷が落ちる。まわすと落ちる。
白い削り氷。削り氷は積もる。
ハンドルをまわすごとに削り氷は白く積もっていく。

もちろんかき氷のことである。
白くてひんやりとしていて、ふわっふわのかき氷。
匙ですくうとちょっとだけ溶けて、口に含むと冷たくてやわらかくて、
少しずつ水になりながら喉を通り胃に落ちてゆく。

氷を欠くので、かき氷なのだが、削り氷としている。
削り氷は『枕草子』の「あてなるもの」に記述されていて、
やまとことばを感じさせつつ、現代でも意味をとれる、
妙なる言葉とおもう。

この推薦文の冒頭で、三行を要して作中主体の行為と結果を記述した。
次の四行で、かき氷を食したときのことを記述した。
どちらも、この短歌を読んだときに、感じ、そして想像した情景だ。

上の句で行為と結果を、下の句で、それの感覚とそれへの感情を記述している。
初句から結句まで五七五七七と規則正しい。
この規則正しさが、上の句で、
ハンドルを、まわして、ハンドルの回転にあわせて、
削り氷が落ちていくさまを呼び起こしている。
削り氷はかき氷であるから、
読者のこころにはすでに、かき氷が浮かんでいるであろう。
下の句では、「そのふはふはの白き」と、
かき氷を規定している。
規定しなければ、かき氷は、読者のこころのまにまに、
読者ごとのかき氷であることだろう。
もちろんそれが歓迎されることもあるが、
ここでのかき氷は「ふはふはの白き」ものでなければならない。
それは、作者がそう感じているということだけではなく、
「愛す」にふさわしい、かき氷の一面であったからであろう。

上の句は「そのふはふはの白き」に係っていて、
下の句の七七、十四音のうち十音を「そのふはふはの白き」が占めていて、
一音が助詞の「を」であるから、
初句から二十八音の重みをうけて、
三音の「愛す」で、端的に締めている。
後味はさっぱりとしている。
(來宮有人)


◆ 塔短歌会の白石瑞紀です。猫とチョコレートが好きです。
  twitterアカウントは@mi_shir です。

◆ 來宮有人(きのみやあると)
東京在住 短歌人所属
ブログ
http://altoworks.seesaa.net/

*********

西チーム【方人】:黒崎聡美さん
西チーム【念人】:やすたけまりさん



雨は緑の色をつくってズッキーニ、まないたの上もりもりと切る
(黒崎聡美)


「雨は緑の色をつくってズッキーニ、」初夏の時間を元気に駆け抜けるような上句だ。
雨が大地にふりそそぎ、木の葉や草原や野菜畑、さまざまな緑を育てる。その夏の緑色をまとったもののひとつとして、いま目の前にある「ズッキーニ」……というふうに意味のつながりを補って考えることができるが、この表現では「つくって→ズッキーニ」のところに飛躍がある。「雨は緑の」の初句七音から始まる早口の助走から唐突に現れる「ズッキーニ」。やや強引な疾走感が夏らしい。
疾走は読点できっぱりと切れ、下句は「まないたの上もりもりと切る」。
「○○○○と切る」に、トントン、さくさくといったオノマトペを入れてしまうとありきたりすぎて、さらっと読み流してしまったり、「音数合わせ?」という印象を持ってしまったりする。そこを「もりもりと」にしたところがいい。水気を含んだ質感や切り口のあかるさ、大皿いっぱいの料理になりそうな量感も伝わる。
「ズッキーニ」・「切る」となれば「まないたの上」はなくてもわかる言葉である。しかし、上句の疾走感からいったんふみとどまってゆったりと舞台設定をしたことで、一首の流れにめりはりが生まれたと考える。
ささやかな情景をていねいにうたっていて、夏野菜のみずみずしさと豊かさが感じられる歌である。
(やすたけまり)


◆ 黒崎聡美
ケータイ短歌等への投稿を経て、2009年「短歌人」入会。
blog「ゆびおり短歌」 http://blog.goo.ne.jp/imaitanka

◆ やすたけまり
未来短歌会 加藤治郎選歌欄所属。
歌集『ミドリツキノワ』(2011年 短歌研究社)
blog「すぎな野原をあるいてゆけば」http://blog.goo.ne.jp/sugina-musicland
twitter @sugina_01092
ネットプリント『月刊ミドリツキノワ』は、発行時に上記のブログ・ツイッターでお知らせしています。どうぞよろしく。

*********

【判者】:魚住めぐむさん


テーマの【夏】にふさわしいさわやかな夏らしい二首となりました。

テーマの【夏】に対して、

東チーム「白」「削り氷」「ふはふは」
西チーム「緑」「ズッキーニ」「もりもり」

とどちらの歌も、「色」「夏のもの」「擬態語」を盛り込んだ歌となっていて興味深かったです。
しかし内容は対照的な二首と感じました。

どちらの歌も夏にふさわしいよい歌だったと思います。
念人の方々の推薦文も説得力があったと思います。
歌の解釈は念人の方々が丁寧に書かれているので、
判者としては感想をすこし述べさせていただきます。


<東チームの歌>

ハンドルをまはすと落つる削り氷(ひ)のそのふはふはの白きを愛す

落ち着いた印象の一首でした。

念人の方も触れていますが、「削り氷」という言葉がよかったと思います。
現代仮名遣い、口語調の歌であれば目立ちすぎる言葉かと思いますが、
歴史的仮名遣い、文語調のこの歌にはよく合っていてよかったと思います。
【夏】に対して「かき氷」では安易すぎる印象を受けますが、、
「削り氷」という言葉にしたことでそういった印象を受けずに読むことができました。

上の句、氷が削られてかき氷ができてゆくさまを思い描きながら気持ちよく読むことができました。

上の句の気持ちよさに対して、下の句ではやや躓きをおぼえました。
とくに結句の「愛す」はどのように読めばいいか悩みました。
念人の方の下の句の読みに、なるほどそういう読みもできるのかと思いながら読みました。


<西チームの歌>

雨は緑の色をつくってズッキーニ、まないたの上もりもりと切る

テーマ【夏】に対して、夏野菜のズッキーニをもってきたところがおもしろかったと思います。

念人の方が指摘するように、上の句は初句七音でも疾走感を伴って気持ちよく読むことができますし、
下の句「もりもりと切る」のありきたりではないオノマトペの使い方もよかったと思います。

上の句の疾走感から下の句の重量感へ。その流れはスムーズで、バランス感覚のよさを感じました。

初句の「雨」について、雨が野菜等の緑を育てるのはわかりますが、
「雨」の言葉はその言葉の持つイメージがやや強いかなと思いながら読みました。
「ズッキーニ」の呼び起こす夏と、「雨」の持つイメージとがぶつかりあって、
焦点をひとつにしぼりきれない印象をすこし受けながら読みましたが、
念人の方の読みにより、「雨」はいま目の前にある「ズッキーニ」(=夏)を呼び起こすためのもの、
として受けとることができ、イメージをひとつにすることができました。


<結果>

どちらの歌も甲乙つけがたく迷いましたが、今回は西チームの歌をとることとします。
東チームの落ち着いた感じもよかったですが、西チームの疾走感に、より【夏】を感じました。
(魚住めぐむ)

◆魚住めぐむ
「短歌人」に所属しています。
よろしくお願いいたします。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

以上の結果となりました。


スポンサーサイト