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歌合 【夏】 ―― 第二試合
「歌合ってなに?」という方は、まずはこちらの記事→ からどうぞ!

【東】
青桐の葉っぱの途切れたところから あっ夏の雲 あの下は雨
(鈴木麦太朗)


【西】
まひるまの暑気払ふべしフライパンに強火で卵炒飯振るふ
(來宮有人)


両チームの推薦文、勝敗は「続きを読む」をどうぞ。
(全文を読む前に、ご自身で感想や勝敗を考えておかれると面白いと思います!)




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東チーム【方人】:鈴木麦太朗さん
東チーム【念人】:白石瑞紀さん



青桐の葉っぱの途切れたところから あっ夏の雲 あの下は雨
(鈴木麦太朗)


難しいところがない、よくわかる歌です。
とても視覚的で、初句から四句まで読者は作者の視点と同化できます。
青 桐の茂った葉っぱから視線が動きます。
葉の途切れた向こう側には書いていないけれど青空が見えてきます。
その空に作者は積乱雲を発見して「あっ」と思う。 もしからしたら声に出したかもしれない。
一字空けは発見するまでの時間だと思いました。
そしてそこで終わらずにあの雲の下は雨なんだなーと作者が思ったと ころまで、読者に差し出されています。
「青桐」という木のチョイスがいいと思います。青桐を知らなくても、使われている漢字「青」が夏を引っ張っ てきますし、
「青」は「緑」にも通じ、葉の色彩も鮮やかに導いてきます。
何より、「青桐」の「あ」が下の句の「あっ夏の雲 あの下は雨」というリズミカルな韻律と響きあって、
この歌の読みやすさ・愛唱性をも生んでいると思います。

下の句は賛否あると思いますが、わたしはこれがいいと思います。
特に四句目が臨場感というか非常にリアルな作者の心の動きを感じられます。
だって、ここが「夏の雲見え」とかだったら、「見つけた!」感がまったくありませんよね。
この「あっ」で読者の共感を呼び、結句で「あの下は雨」と言い切って、四句までで歌に引き込んだ読者を納得させてしまうのです。
口語体で軽く詠まれているように見えますが、とて もよく練られた一首だと思いました。
(白石瑞紀)


塔短歌会の白石瑞紀です。猫とチョコレートが好きです。
  twitterアカウントは@mi_shir です。

◆ 鈴木麦太朗です。未来短歌会笹公人選歌欄所属。
ツイッター( @mugitauros )、ブログ( http://blog.goo.ne.jp/yuaruhi/ )。
どうぞよろしくお願いします。

*********

西チーム【方人】: 來宮有人さん
西チーム【念人】: ユキノ進さん



夏は生命力の横溢する季節です。
圧を感じるほど日差しは強く、木々の緑は深く、蝉はフルボリュームで鳴き続けます。
子どもたちが漕ぐ自転車のスポークはキラキラと光り、裏庭では夾竹桃が赤く暗く咲きます。

しかし一方で、夏は死の季節でもあります。
春から育ってきた草や葉や虫たちはすでに晩年で、夏の終わりにいっせいに死に向かいます。
眩い光が足もとにくっきりとした影を落とすように、夏の生命は死と表裏になっています。


まひるまの暑気払ふべしフライパンに強火で卵炒飯振るふ
(來宮有人)


真夏に素麺や冷やし中華で涼をとるのは理にかなった行為ですが、暑い日にフライパンで火を起こして汗をかくことで暑気を払うというのは、一種の倒錯ともいえます。
その倒錯的な行為を描くことによって、生と死がないまぜになった真夏の狂気を表現したのがこの歌なのです。

またここで作っているのは、カニチャーハンでもレタスチャーハンでもなく、卵チャーハンです。
卵は言うまでもなく、生命の象徴です。
強火の火にかけたフライパンを力強く振る生命力に満ちた行為の中で、決定的に損なわれていく生命。
ここでも生と死は断ちがたく結びついています。

そして歌の冒頭と終わりの単語はそれぞれ「まひるま」と「振るふ」です。
「ま・ひる・ま」「ふ・る・ふ」。
それぞれ単語の最初と最後が同じ文字となる輪廻のような単語です。
この歌はふたつの輪廻、繰り返す生と死を抱えた不思議な構造となっているのです。

生命と死の狂気に満ちた夏を見事に描ききった歌として、「まひるまの暑気払ふべしフライパンに強火で卵炒飯振るふ」をお勧めします。
(ユキノ進)


◆ 來宮有人(きのみやあると)
東京在住 短歌人所属
ブログ
http://altoworks.seesaa.net/


新潟で『空き瓶歌会』という歌会を主宰していましたユキノ進です。
新潟では山田富士郎さんを中心にした超結社の歌会にも参加していました。
転勤でこの春東京に戻り、短歌ではどこにも所属していません。
よろしくお願いします。
@susumuyukino


*********

【判者】:黒崎聡美さん


東チーム、西チーム、ともにまずは歌だけを読みました。それから念人さんの推薦文を読みました。

まず東チーム。

【方人】麦太朗さんの歌は、「青桐」が良いと思いました。あおぎりという響きや、すくっと立っている木の様子と「夏の雲」。そしてそこからここには降っていない「雨」を思っているところ。

そして【念人】白石さんの推薦文に『葉の途切れた向こう側は書いていないけれど青空が見えてきます。』とあって、確かに私もこの歌を読んで青空が見えてきました。また『青桐を知らなくても、使われている漢字「青」が夏を引っ張ってきます』、『「夏」は「緑」にも通じ、葉の色彩も鮮やかに導いてきます。』、そして韻律への指摘もされた『青桐』のチョイスの良さについてには、説得力がありなるほどと思いました。青桐の効果がより深まりました。

下の句、特に四句目の臨場感についてもうなずくものがありましたが、私はとくに青桐について述べられた箇所に惹かれました。

続いて西チーム。

【方人】來宮さんの歌は、夏の暑さや台所の熱がとてもリアルに迫ってきました。「暑気払ふべし」という力強い言い方と「強火で卵炒飯振るふ」の力と熱がぴったりです。

【念人】ユキノさんの推薦文は歌のなかの夏の熱が強い分、そこに死も読み取っていました。『暑い日にフライパンで火を起こして汗をかくことで暑気を払うというのは、一種の倒錯と』とり、『生と死がないまぜになった真夏の狂気を表現したのがこの歌』というところには説得力がありました。その後に続く『またここで作っているのは、』から始まる卵チャーハンについての記述が、歌に深さというか奥行きを出していると思いました。

『まひるま』『振るふ』の構造については、私には少し難しかったです。

以上を踏まえて、とても、とても、とても悩みましたが、一番最初に歌を読んだときよりも、推薦文を読んでより歌の色合いが濃くなったり奥行きが出たりしたのは西チームなので、この勝負は西チームの勝ちとします。
(黒崎聡美)

◆黒崎聡美
ケータイ短歌等への投稿を経て、2009年「短歌人」入会。
blog「ゆびおり短歌」 http://blog.goo.ne.jp/imaitanka


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以上の結果となりました。

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[2014/08/05 16:50 ] | 歌合戦!
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