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歌合 【 その2 】 第二試合
「歌合ってなに?」という方は、まずはこちらの記事→ からどうぞ!


東チーム

見た目ではバレないようにお揃いはハチミツ入りのリップクリーム (天国ななお)

V.S.

西チーム

観音のややもうつむく御姿を見にきたのではなく会いにきたんだ (鈴木麦太朗)



両チームの推薦文、勝敗は「続きを読む」をどうぞ。
(全文を読む前に、ご自身で感想や勝敗を考えておかれると面白いと思います!)






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東チーム

見た目ではバレないようにお揃いはハチミツ入りのリップクリーム (天国ななお)

念人 : 中村成志

調べてみると、ハチミツ入りリップクリームの作り方は意外に簡単。
ハチミツ・蜜蝋・植物性油を加熱しながら混ぜ、容器に注いで冷やす。その熱加減、混ぜ方、配合比が難しいのだろう。

もちろんこの歌に、リップクリームが手づくりであるという情報は無い。
だがおそらくは恋人同士、それも「バレないように」周囲には気を使っている関係。
二人を繋ぐためのアイテムとしては、既製品よりも手作りの方がしっくりこないか。

秘めた関係とは言っても、いわゆる不倫のような影はあまり見受けられない。
どちらかと言えば、付き合い始めたばかりの初々しさ、むしろ隠すことを楽しんでいるような雰囲気が伝わってくる。
同時に甘さ、唇のイメージから、当然口づけも連想され、恋の祝祭性も表現される。
「ハチミツ」という、食物としてみれば多少不思議な存在の手柄だろう。

(ちなみに、抜き差しならない関係をハチミツのどろりとした印象に結びつけた、という読み方もできるが、それだとカタカナが持つ透明性が似合わない。その場合は「蜂蜜」と記すだろう。)

面白いのは、初句で「見た目では」としていること。
素直に読めば、「ペアルックやおそろいの小物などで周囲にアピールできない、ならばせめて……」となる。
が、「見た目以外ならばバレてもかまわない」という天邪鬼な読み方もできる。
実際、ハニーリップクリームは配合比によっては、蜜の甘い香りが周りに漂うこともあるそうだ。

韻律面から見れば、「は」「ハ」の連続、「バレ」「リップ」の破裂音が成す軽快さ。
「見た」「ミツ」クリーム」と、マ行を配置してまったりとした恋の穏やかさも表現している。
黙読の際の視覚情報でも、漢字が四文字に対し、カタカナが全体の約半数(一三文字)。それにより晴れやかで風通しの良い印象を読者に与える。
さらりとした歌い方だが、要所要所にテクニカルな目配せがされているのが分かる。

一読しての印象を楽しむも良し、深読みで想像を膨らますのも良しの、秀歌だ。
(中村成志)

天国ななお

Twitter Account @momomiyam
2004年の「枡野浩一のかんたん短歌blog」をきっかけに短歌を作り始める。2013年に同人誌「短歌男子」に参加。

中村成志(なかむら せいじ)

10年ほど前から短歌を始める。所属結社等無し。
blog http://blog.goo.ne.jp/0323_2006
twitterアカウント @nakam8

*********

西チーム

観音のややもうつむく御姿を見にきたのではなく会いにきたんだ (鈴木麦太朗)

念人 : 黒崎聡美

一読、その観音様に対する率直な思いが伝わってきて、その強さに惹かれました。

観音様が「ややもうつむく御姿」をしていることが、以前本か何かで見たことがあるのか、それとももう何度も会いにきているのか、知っているんですね。知っていながら、また訪れる。

どこの観音様なのか全く手がかりはありませんが、ここは読者それぞれの観音様を思い浮かべればいいのだと思います。
この歌で大切なのは、観音様の具体名ではなく、観音様に対する思いなのですから。

「ややもうつむく」という表現は的確だと思いました。やさしげな表情まで見えてきます。

特に「も」という助詞が、観音様のやさしげな表情や柔らかな立ち姿、そして主体のまるで恋心のような思いも滲ませます。

それに続く「御姿」という表記、ここには観音様に対する敬いが読み取れ、一首を引き締めます。

「見にきたのではなく会いにきたんだ」という下の句はその思いの強さがあらわれています。

特に「きたんだ」という口語、というより話し言葉。例えば「会いにきたのだ」としても意味内容は変わらず、韻律も良い。でも「会いにきたんだ」の方が思いの強さや深さがリアルに迫り、そのあとの時間(私は主体が観音様の前に立ち尽くしている姿が思い浮かびました)まで含まれているように感じました。
(黒崎聡美)


鈴木麦太朗

鈴木麦太朗です。未来短歌会笹公人選歌欄にいます。どうぞよろしくお願いします。


黒崎聡美

ケータイ短歌等への投稿を経て、2009年「短歌人」入会。
blog「ゆびおり短歌」 http://blog.goo.ne.jp/imaitanka


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判者:魚住めぐむ

東チーム、西チーム、どちらの歌も「楽しいこと、好きなこと」の雰囲気の伝わる歌でした。
読んでいるこちらもその気持ちに触れることのできる歌だったと思います。

<東チームの歌>

見た目ではバレないようにお揃いはハチミツ入りのリップクリーム

一読してなんとも言えないたのしい気持ちの伝わる歌でした。
念人の方のご指摘のように、恋人同士の歌として読むのがよいかと思いますが、女の子同士の友だちの歌として読むこともできました。
女の子たちはこっそりお揃いにしてたのしんだりするので、その可愛らしさをイメージして読むこともできました。

恋人同士の歌として読むと、念人の方も書かれているように、つきあいはじめの初々しい感じが伝わってくると思います。
その感じがとてもいいなと思いました。

はちみつ入りと書かれたリップクリームはよく見かけるので、とくに手作りのものとは思いませんでした。

「見た目では」はどう読めばいいのか悩みましたが、念人の方の説明を読み、そういう読み方もあるのかと思いました。

韻律面の説明については、わたしにはすこし難しかったです。

カタカナの多さはすこし気になりました。
「見た目ではばれないようにお揃いははちみつ入りのリップクリーム」
とすると「は・ば」、「は・は」となりやや見づらく(目で読みづらく)なるので、「バレ」「ハチミツ」とカタカナにしたのかもしれませんが。(ちがっていたらごめんなさい。)
このカタカナの多さを、念人の方の書かれているように<風通しの良い印象>と感じるかどうかで受け取りかたがちがってくると思いました。


<西チームの歌>

観音のややもうつむく御姿を見にきたのではなく会いにきたんだ

おもしろい歌だなと思って読みました。
観音さまを見に行くのではなく、観音さまに会いに行くのですね。
観音さまへの想いの強さを感じます。

「ややもうつむく」については念人の方の書かれているとおりだと思います。

四句が九音になっているのですが、はじめに読んだときにはそのことに気がつきませんでした。
それくらい自然に読めてしまったということです。
四句字余り、字足らずはおさまりがわるいといわれることもありますが、この歌に関してはあまり気になりませんでした。
結句の「会いにきたんだ」の強さによって、気にならなかったのだと思います。

結句については念人の方が書かれているように、「会いにきたのだ」ではなく「会いにきたんだ」とすることで、想いの強さがより伝わってくると思いました。


東チーム、西チーム、どちらの歌もよくて迷いました。
自分の感じたことと念人の方の感じたこと、それらを合わせてもう一度歌を読んでみて、歌に深みが出たように感じたのは西チームの歌でした。
ということで今回は西チームの歌をとることとします。

魚住めぐむ

「短歌人」」に所属しています。
よろしくお願いいたします。


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[2015/02/04 19:44 ] | 歌合戦!
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