世の中ね、顔かお金かなのよ!

ブログタイトルはこんな(回文)ですが、恋愛や人生の指南はしません(できません)。砺波湊の短歌メインなブログです。

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千原こはぎさんによる企画・編集の「Re:短歌」に参加しました。
51組102名による「返歌」、計408首が詰まっています。
DLは→こちらへ。

わたくし砺波湊は、笛地静恵さんと「架空世界のBL相聞歌」を作ってみました。(p.15)
自作についてはさておき、ここでは面白かった一連をいくつかご紹介します。

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■ やっぱり恋の歌

贈答歌→相聞、という連想をしたのか、やっぱり恋の歌が多かったです。

「ピーマンを裂く」 (p.3)
それぞれの視点と感情があって、でも一連に統一感もある。そして何より、読んでときめく。
お互いの部屋を行き来するようになった二人の、初めて一緒にする料理の光景でしょうか。

  種を掻きいだす手つきで思い出すふたり乗り損ねた観覧車 (道券はな)
  ピーマンに詰めてゆく肉あひびきの肉を詰めれば粘つきて、指 (門脇篤史)
  指をかける窪み少ないピーマンをやさしく破ってあばく晩夏(おそなつ) (道券はな)
  ひそやかにあなたがここにゐる日々のすきますきまに咲くばらの花 (門脇篤史)

「近くて遠い」 (p.21)
表裏、なところが面白い。そして、たぶん別れてしまいそうな二人を描いたところも。
単にハンドルネームで投稿しただけかもしれないけれど、下の名前だけなのも、作品の雰囲気と合ってると感じます。

  読まれもせぬ本をどっさり送りつけやがて疲れて秋のため息 (なつお)
  大切な本を私にありがとう少し自分を嫌いになれた (さやこ)
  デコルテやデニールなどを教わって僕はずいぶん賢くなった (なつお)
  デカルトやデニーロなどを教わって全部忘れてキレイになった (さやこ)

「花言葉」 (p.16)
離れて暮らす、青春期は過ぎた二人。感情の機微も大人っぽい。
かつての恋人か、一緒に夢を追った仲間か。
関係性の推測はともかく、ことばを受け渡していく過程が楽しいです。

  知られずにすむならそれで 夕焼けのまぶしさになほ見晴るかす海 (染野太朗)
  眩しさはふいに私に届きたり水の匂いに咲くアネモネの (森本直樹)
  さびしさは届いてしまふさびしければ花言葉さへ信じてしまふ (染野太朗)
  都合のいいものばっかり見えている花は幾つも花言葉を持つ (森本直樹)

他にもきゅんきゅんする恋の歌は多かったです(^-^)/
  一輪の花と目が合う あなたの飲む水の名前を知りたくおもう (西村 曜)
  あっ同じ体温だって気がついて掴んだ腕を離せずにいる (天国ななお)
  きみの住む街に驟雨は続くらし天気予報のラジオが刺さる (太田青磁)
  かんぺきな逢瀬でしたね真夏日にあなたの靴の先はまるいね (笹谷香菜)
  いつか見る暁のはずベランダの三日月錠をゆっくり開ける (佳丘一穂)

BL短歌に挑戦した身には、百合な相聞を見つけて嬉しかったり…
  人は眉をひそめるだろうOggi派がCLASSY派に恋をしている (秋山生糸)

■ 恋、だけじゃない

想いのやりとりがあるのは恋愛だけではありません。
面白い設定も色々と見られました。

人に寄り添う金魚もいたり… 「金魚鉢のプラネート」

  土砂降りのような涙だ外界を知らないぼくへはじめての雨 (ユチコ)
  天気予報雨のち晴れにできたならきみのうろこをひとつください (月刻)

人間と犬の出会いだったり… 「少年と犬」

  ばあちゃんのハタキのようだウインドウ越に見つけたこいぬのしっぽ (杉谷麻衣)
※「ウインドウ越」は送り仮名「し」が抜けている気もしますが、原文のまま引用します。
  わたくしは犬 わたくしはわんと鳴く しっぽを振れば舞い上がる空 (尼崎武)
  もうきみに決めたってなぜ分かるんだちぎれるほどにしっぽを振って (杉谷麻衣)

「Revolver&」(p.17)
チャラいギャングと「仕事人」的な刑事かな、と読みました。
海外ドラマ好きなもので、キャラクター設定が魅力的でした。

  天才はひとりで長く喋るものだろう 銃口に舌を入れるな (平岡直子)
  俺はたぶん死ぬんだろうな この指輪より口径の小さな銃で (ナイス害)
  キングにキングをぶつけて倒す喜びにここはいつから崖だったのか (平岡直子)

また、恋がテーマとは読み取れなかったのですが、(女友達?)
女子(←あえてこう呼びます)のパワーを感じる歌も楽しかったです。

  おそろいで買った水着の色褪せて海の匂いがしないわたしは (嶋田さくら子)
  赤いリップをひと塗りすればもう無敵明日のぶんまで日記を書いた (月の子)


今回、要件さえ満たせば誰でも参加できる企画でしたので
(編集されたのはあくまでレイアウトやデザインなどの面)
正直なところ、短歌自体の完成度はかなりまちまち。力量が異なるペアも見かけました。
さほど親しくない人どうしだと、推敲してほしくても、相手の作品に口を出すのが億劫な場合もあるでしょうし。
(わたしの場合は初対面でしたが、お互いに「この語は雰囲気に合わない」
「リズムか語順を再考してほしい」等マナーを守りつつ意見を交わしました。)
けれど、これだけ多彩な世界が集まったのは【二名×四首】という簡単なルールを掲げたからだとも思えます。
返歌をするペアを編集者が選んだら、どうなったかな? この人がこういうテーマを書いたら、どうかな? など
想像を膨らませつつ、もう少し「Re:短歌」を読んでみたいと思いました。

……というわけで、とても楽しい短歌集です。企画して下さった千原さん、返歌相手を募集されていた笛地さんに感謝です!

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